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2009年8月24日~28日:第10回ロサンゼルススペースツーリズムツアー開催。
 
協会主催の「第10回ロサンゼルススペースツーリズムツアー」が、日本とロサンゼルス現地からの参加者・サポーター約10名を迎えて開催されました。以下にこの5日間の行程をご紹介させていただきます。
 
 
 

●8月24日(月):第一訪問先→UCLA Multifunctional Composites Lab。ここは私、五月女が6月卒業まで所属していた研究室で、無人偵察機に使用する超軽量バッテリー、薄型太陽電池、複合材料の自己修復システム(機体の傷をセンサーで探知、自動的に治す)などの研究をしています。自己修復システム、バイオ燃料電池、薄型バッテリーに関するプレゼンテーションを研究員の方々からしていただいた後、研究室を見学、原子間力顕微鏡、X線分析器、引っ張り試験機などの装置を紹介しました。

 
●8月24日(月):第二訪問先→California Science Center。ロサンゼルスダウンタウンに近い同博物館には、スペースシャトル以前にNASAが開発した有人宇宙船「マーキュリー」、「ジェミニ」、「アポロ」宇宙船の実物帰還カプセル(宇宙から戻ってきた本物のカプセル)が展示してあるほか、NASAジェット推進研究所が開発した歴代の惑星探査機の実物大模型がびっしりと展示してあります。今回の参加者には豊富なエンジニアリング経験を持つ方もいらしたため、宇宙船の構造を実際に目の前にしながらのディスカッションは私にとっても大変有意義なものでした。
 
●8月24日(月):第三訪問先→Lunar Rocket and Rover社。この会社では超小型ペイロードをサブオービタル宇宙軌道に打ち上げるサービスを教育用に提供しています。今回の見学では小型ロケットを打ち上げるためのロンチャーを実際に目の前にしながら、ミッションの手順や技術的な詳細を社長のRobert Kleinberger氏より説明していただきました。
 
 
 
 
 
 
●8月25日(火):第一訪問先→Mojave Spaceport Headquarters(モハベ宇宙港本部)。モハベ宇宙港では2004年にSpaceShipOneサブオービタル宇宙船による連続宇宙飛行が達成され、以後も同宇宙船を開発したScaled Composites社、XCOR社、Masten Spacesystems社、Interorbital Systems社など新進気鋭のベンチャー企業が次世代有人宇宙船の開発にしのぎを削っています。まずは宇宙港全体を管轄する本部のオフィスで、Tom Weil氏から同施設の紹介をしていただきました。
 
●8月25日(火):第二訪問先→Interorbital Systems社。同社では80万円で550グラムの小型衛星を教育用にオービタル軌道上に打ち上げる「Neptune 30ロケット」、将来の宇宙旅行を目指したサブオービタル宇宙船打上ロケット「Neptune 1000」、オービタル宇宙船打上ロケット「Neptune 4000」などを開発しています。社長のRanda Milliron氏に同社のプロジェクトの進行状況の説明をしていただきましたが、それによると「今から数週間以内に同社のロケットの基本ユニットとなるCommon Propulsion Modulesのテストフライトを実施し、その結果を解析して更にロケット開発を推進、来年末のNeptune 30ロケット初飛行にこぎつけたい」ということでした。
 
●8月25日(火):第三訪問先→XCOR社。同社ではNASAの委託を受けた次世代火星宇宙船用メタンロケットエンジンの開発や、超小型ロケットエンジンを搭載したEZロケットの開発を行うほか、二人乗りのサブオービタル宇宙旅行船「Lynx」も構想中です。今回は熱解析エンジニアであるDoug Jones氏よりお話を伺いました。Lynxの構造開発は昨年の訪問時よりあまり進んでいる様子はありませんでしたが、同社の本業であるロケットエンジン開発は着々と進んでいるようです。ここは訪れるたびに、本当にロケットが大好きな人たちが集まってやっているんだ、という熱気をムンムンと感じます。
 
●8月25日(火):第四訪問先→National Test Pilot School。同施設 では新開発の航空機のテスト飛行を行う世界最高レベルのテストパイロットを養成しています。今回もテストパイロット教官であるEd Solsky氏に施設を案内してもらいました。いつも見ることが出来る、オービタルサイエンス社開発の「飛行機からロケットを打ち上げるペガサスシステム(下右)」は今回残念ながら運用中で見学できませんでした。
 
 
 
 
 
 

●8月26日(水):本日は中日休憩日で、参加者の方々には日中休んでいただきましたが、夕方から現地サポーターの方のお宅をお借りしての交流会を実施いたしました。交流会ではNASAジェット推進研究所で惑星探査(惑星探査機からの映像のプロセシング)に関わっておられる日本人研究者の方と、日本で新しいエンジンをベースにした有人宇宙機開発を進めておられるエンジニアの方から1時間ずつのプレゼンテーションをいただき、参加者やボランティアの方からも活発な質疑応答がありました。

 
 
 
 
 
●8月27日(木):第一訪問先→NASAジェット推進研究所(JPL)。JPLは 古くはパイオニア・ボイジャー太陽系探査機から、新しくはカッシーニ土星探査機、フェニックス火星探査機まで、全世界の惑星探査を主導する太陽系科学の総本山です。今回の見学では太陽系全域に散らばる探査機からの情報がすべて集結するコントロールルーム、2011年以降の打上を目指す次期大型火星探査機「Curiosity」(火星に生命体が存在する、もしくはしたか、を大型の観測装置で計測する)の実際の組み立て現場、現在火星で活躍中のローバー「Sprit」「Opportunity」の走行試験設備、などを見学しました。「Curiosity」は先月私が個人的に見学したときには無かった車輪が置かれているなど、開発が進んでいることが伺われました。
 
●8月27日(木):第二訪問先→カリフォルニア工科大学(Caltech)。Caltechはノーベル賞学者を多数輩出し、世界ランキングで常に5本の指に入るMITやStanfordと並ぶ超名門校です。NASAジェット推進研究所はもともとCaltech内の研究室として出発し、後にNASAに編入されました。今回の見学ではまず「過去の地球環境の劇的な変化(隕石の衝突や全球凍結と呼ばれる現象)が地球の生物の進化にどのような影響を与えたか」を研究している研究室を見学しました。それから「遠い宇宙でブラックホールが衝突することにより発生する重力波を検出する装置」を開発している現場を日本人研究員の方々に案内していただきました。重力波は「同じ光源から直行する2方向に発射されたレーザーが、反射して再度合流する時の干渉」が「重力波により発生する時空のゆがみが筒の長さを微妙に変化させる効果」で変化する現象を観測することで検出されます。本物の装置は砂漠にある全長数キロという巨大なもので、Caltechではそこに使われる検出装置の開発を全長40メートルの装置で実施していました。
 

●8月27日(木):第三訪問先→南カリフォルニア大学Madhu Thangavelu教授宅。Madhu教授は将来の有人探査計画のコンセプト作成や月面基地開発構想を提唱しており、南カリフォルニア大学では宇宙建築・宇宙ビジネスで教鞭をとっています。私は体調不良により参加できませんでしたが、参加者の方々は教授からオバマ新政権を迎えての今後のアメリカ宇宙政策について話を伺った後、望遠鏡で月を見たとの事でした。

 
 
 
 
 
 

●8月28日(金):第一訪問先→Space Dev社。 1997年に南カリフォルニア・サンディエゴ市に設立された同社では2013年以降に定期宇宙旅行開始が予定されているVirgin Galactic社・SpaceShipTwo宇宙船に搭載するハイブリッドロケットエンジンや人工衛星関連の各種装置の開発のほか、有人オービタル宇宙船「Dream Chaser」を構想しています。同社は昨年10月にNASAや米軍に各種電子装置を提供しているSierra Nevada社に買収され、現在はその7つの部門の一つとして宇宙機開発を進めています。今回はプロジェクトマネージャのHarrison Yelton氏より同社の紹介をしていただきました。

 
●8月28日(金):第二訪問先→X PRIZE財団。同財団は2004年に達成された「SpaceShipOneサブオービタル宇宙船(左下)による民間初の連続宇宙飛行」のきっかけを作ったAnsari X PRIZE コンペを主催し、その後毎年10月に宇宙版アメリカズカップとも言うべき宇宙船展示・競技イベント「X PRIZE Cup」を開催しています。今回広報担当のWill Pomerantz氏から、2004年以降の同財団の活動に関してご紹介いただきました。特に最近は、Googleからの支援を受けて実施している「月無人探査機開発コンペ」の他にも、環境(いかに燃料効率の良い車を開発するかを競うコンペ)やバイオ(遺伝子解析をいかに迅速に実行するを競うコンペ)にも同財団は広く活動を展開しています。
 
●8月28日(金):ツアー終了式。まず今回東北大学大学院から参加された研究員の方に「飛行機の機体と翼形状を工夫し、衝撃波の発生を低減することで、将来の超音速旅客機実現につながる技術を獲得する」研究に関してプレゼンしていただきました。衝撃波の発生メカニズム、それが地上に及ぼす影響、東北大学で検討されているコンセプトがどのようにその影響を軽減するのか?、そのコンセプトに基づいた実際の実験とシュミレーション結果との比較(非常に良好な一致を示していて大変驚きました)など、興味深い内容となりました。その後当協会ツアー恒例の終了証授与式を行いました。
 
 
 
 
 
 

今回のツアーでは有人宇宙関係ベンチャー企業、無人惑星探査系施設、大学研究室、とバランスよく宇宙関連施設を見学できたと思います。特に有人宇宙開発の中枢に入り込んで行きたいと考えている私にとっては、モハベ宇宙港で宇宙船開発を進めるベンチャー企業の開発員や、すでにかなりの実績を上げているSpace Dev社のトップマネージャ(25年以上のエンジニアリング経験を持っている)、豊富な宇宙業界での経験をもたれている参加者の方々とのディスカッションは、今後の自分のやるべきことを考える上で大変大きな収穫となりました。また今回のツアーでは現地サポーターの方々にも大変お世話になりました。心から御礼申し上げるとともに、至らない点も多々ありましたことをお詫びいたします。

次回ツアーは1年後の2010年8月末を予定しています。ツアーに関してのご質問などございましたら五月女までご連絡ください。

五月女

 

     
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