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2010年4月15日:オバマ大統領、米国新宇宙政策(詳細案)を発表。
 

(文責:五月女)2月初頭に米国新宇宙政策を発表したオバマ大統領ですが、フロリダのケネディ宇宙センターで更に詳細案を発表しました。2月の発表ではブッシュ元大統領発案の月有人探査計画の全面凍結がうたわれましたが、雇用の維持を主張する既得権益グループの圧力を受けた形で、オリオン宇宙船の開発だけは継続される変則的な宇宙政策となりました。

 

小惑星の一つ「イトカワ」(左)と火星の衛星フォボス(公開ホームページより)

 
 
 
前回の発表を補完・修正する形で今回の発表を説明しますと:
   
  ● スペースシャトルはあと3回の飛行をもって2010年中に全機引退させる。逆に2016年に廃棄予定だった国際宇宙ステーションは少なくとも2020年まで使用を延長する。またこれまで月有人探査用に開発が進められてきたOrion宇宙船、Altair月着陸船、Ares Iロケット、Ares Vロケットのうち、Orion宇宙船のみ「国際宇宙ステーションに長期ドッキングさせる救命船」として開発を継続する(オリオン宇宙船の打ち上げロケットに関しては詳細不明ながらデルタロケットなどの既存ロケットを改造して使用することが予想される)。
 

●NASA予算を今後5年間で総額$6bil(5400億円)増額する。当面の2011年度予算は2010年の$bil18.3(約1兆8千億円)から$bil19.0(約1兆9千億円)に増額する。

  ●NASAは2015年をめどに新型重量級ロケットの基本設計を終了、まずはラグランジュポイント(月と地球の間にあり、双方の天体の重力が釣り合うポイント)への有人飛行を実施する(重量級ロケットの詳細は不明)。
  ●続いて2025年までに地球近傍小惑星(普段は火星と木星の間に存在する小惑星のうち、地球・月軌道のそばまで飛来してきたもの。地球に衝突すると恐竜絶滅のような大惨事を引き起こしかねないため、将来対策を打つデータを蓄積するための詳細な探査が必要とされる)への有人飛行を実施する。
  ●続いて2035年までに火星の衛星であるフォボスもしくはダイモスへの有人飛行を実施、続いて火星への有人着陸を実施する。
 
 

また今回の発表には具体的には盛り込まれていませんが、Space X社、Orbital Sciences社などの民間企業を資金的にサポートすることで、最終的に地球低軌道に人員を輸送する次世代宇宙船の開発を民間にゆだねることも重要なポイントになってきます。今回の発表では「将来的に人類にとって脅威となる可能性のある地球近傍小惑星の有人探査を打ち出した点」と「ラグランジュ点→地球近傍小惑星→火星衛星→火星着陸、と技術的に地道に積み上げていくステップが示された点」が評価できると思います。また「地球低軌道への輸送システムを最終的に民間ベンチャー企業にゆだねるためのサポートを惜しまない」という点も新たな時代の到来を感じさせます。ただし、本案は「すでに既得権益の横やりが入り、オリオン宇宙船開発を残す形で当初案から変更されている」、「今後議会の承認を得ないと実行されない」、「たとえ実行されたとしても、これだけの長期スパンの政策が政権交代後も維持されるのか不安(すでにたった6年前のブッシュ元大統領の政策が今回転換された)」という点が大きな不安要因として残ります。今後の行方も注意深く見守っていきたいと思います。

五月女

 

     
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